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Jトラストは下値支持線達し調整最終局面、業容拡大戦略評価で切り返しのタイミング
Jトラスト <8508> (東2)の株価は、9月11日1051円から9月17日1310円まで急伸する場面があったが、買いが続かず反落し、全般地合い悪化も影響して10月16日960円まで調整した。ただし足元では下げ渋り感を強めている。1000円近辺の下値支持線に到達して調整の最終局面のようだ。積極的な業容拡大戦略を評価して切り返しのタイミングだろう。なお11月13日に第2四半期累計(4月~9月)の業績発表を予定している。
M&Aや債権承継などを積極活用して業容拡大戦略を推進し、金融サービス事業(事業者向け貸付、消費者向け貸付、クレジット・信販、信用保証、債権買取)、不動産事業、アミューズメント事業、海外金融事業(消費者金融業、貯蓄銀行業)、その他事業(システム開発など)を展開している。
国内金融分野では、日本保証(12年3月ロプロが武富士の消費者金融事業を承継、12年9月ロプロと日本保証が合併)、KCカード(11年8月楽天KCを子会社化)、クレディア(12年7月子会社化)、個品割賦事業のNUCS(14年3月子会社化)、国内不動産分野・アミューズメント分野ではアドアーズ <4712> (12年6月子会社化)を傘下に置いている。
なおKCカードは15年1月5日付で設立する子会社に「KCブランド」事業を承継させ、同日付で承継会社の全株式をヤフー <4689> とソフトバンク・ペイメント・サービスに譲渡する。またNUCSの「NUCSブランド」事業をKCカードに承継させ、グループのクレジットカード事業を「NUCSブランド」として継続する。本件取引によって発生する約404億円(株式譲渡対価約350億円、KCカードに対する貸付金の返済金54億円)の資金を、クレジットカード事業への再投資、グループ事業の強化、新規事業のための資金に充当する。
海外金融分野では韓国での事業基盤確立を推進している。11年4月に消費者金融の韓国・ネオラインクレジット貸付を子会社化した。12年10月に貯蓄銀行認可を受けた韓国・親愛貯蓄銀行は未来貯蓄銀行の一部資産・負債を承継し、13年1月韓国・ソロモン貯蓄銀行から、13年6月韓国・エイチケー貯蓄銀行から消費者信用貸付債権の一部を譲り受けた。
14年3月には韓国・ハイキャピタル貸付、韓国・ケージェイアイ貸付を子会社化し、14年8月には韓国・ハイキャピタル貸付、韓国・ケージェイアイ貸付および韓国・ネオラインクレジット貸付の貸付事業を韓国・親愛貯蓄銀行に譲渡した。今後は韓国・親愛貯蓄銀行の相対的に低金利の預金を原資として事業を運営し、グループ全体として収益構造の改善を進める。
なお14年6月に韓国スタンダードチャータードキャピタルおよび韓国スタンダードチャータード貯蓄銀行の買収を発表し、株式取得を9月下旬予定としていたが、10月28日に未だ株式取得を行っていないと発表した。株式譲渡契約に基づいて引き続き検討するが、詳細が判明しだい速やかに公表するとしている。
アジアへの展開は13年12月子会社Jトラスト・アジア(シンガポール)がインドネシアのマヤパダ銀行と資本業務提携した。そして14年9月、インドネシア預金保険機構(LPS)が所有するインドネシアのムティアラ銀行の株式取得に関する公開入札で落札候補者に選定され、LPSと条件付株式売買契約を締結した。インドネシア金融庁による審査を通過した後に必要な手続きを進める。ムティアラ銀行はインドネシア全土に62支店の営業網を持つ総資産13兆インドネシアルピア(約1200億円、14年3月現在)の商業銀行である。インドネシアの商業銀行に対する外国人持株比率は最大40%という規制があるが、本件は特例として100%取得することが可能となっている。
アミューズメント分野では14年9月、子会社アドアーズが韓国でカジノ事業を展開するJBアミューズメント(JBA、韓国KOSDAQ市場上場)の第三者割当増資を引き受けて第2位株主(出資比率9.49%)となった。韓国・済州新羅ホテルでカジノ事業を行うマジェスターを含むJBAグループと協力関係を構築し、アミューズメント事業におけるシナジー創出や事業拡大を目指す。
不動産分野では14年9月、子会社Jトラストアジアを通じて、シンガポールの不動産開発会社LCD(シンガポール証券取引所上場)の株式29.5%を取得して筆頭株主となった。LCDはタイ、イギリス、ベトナムなどに著名なホテルやサービスアパートメントを保有している。LCDと戦略的協業関係を構築するとともに、シンガポールを拠点として東南アジアに総合的な不動産業を展開する方針だ。なおLCDの商号をJトラスト・インターナショナルに変更予定としている。
今期(15年3月期)の連結業績見通し(8月13日公表)は営業収益(売上高)が前期比11.9%増の692億91百万円、営業利益が同80.7%減の26億56百万円、経常利益が同79.5%減の27億38百万円、純利益が同0.8%増の112億39百万円、配当予想(5月14日公表)が前期と同額の年間10円(第2四半期末5円、期末5円)としている。
中期成長向けてM&Aや事業再編を活用したグループの事業基盤構築・強化に取り組んでいるため、今期は一時的に営業費用が増加して営業減益、経常減益の見通しとしている。なお韓国スタンダードチャータードキャピタルおよび韓国スタンダードチャータード貯蓄銀行の買収で負ののれん発生益を見込んでいるが、9月下旬予定としていた株式取得を行っていない。当面はM&Aや事業再編に伴って収益が大幅に変動する可能性があるが、積極的な業容拡大戦略で中期的には収益拡大基調だろう。
株価の動きを見ると、9月11日の1051円から9月17日の1310円まで急伸する場面があったが、買いが続かず反落し、全般地合い悪化も影響して10月16日の960円まで調整した。ただし足元は1000円近辺で推移して下げ渋り感を強めている。2月の年初来安値905円水準まで下押す動きは見られず、下値支持線に到達して調整のほぼ最終局面だろう。
10月29日の終値989円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS95円24銭で算出)は10~11倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は1.0%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1502円54銭で算出)は0.7倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形になったが、1000円近辺が下値支持線のようだ。積極的な業容拡大戦略を評価して切り返しのタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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参照元:Searchina
掲載日:20141013
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