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イオン銀行が2400件の過剰請求、10年近くも利息計算を誤る

「当行の不手際により、お客さまにご迷惑をおかけいたしましたことを心よりお詫び申し上げます」。イオン銀行は2016年4月22日、イオンカードのキャッシングサービスで、利息を誤って請求していたと発表した。対象契約数は2401件、返金額は約600万円に上る。「事務オペレーション上のミスがあった」(親会社であるイオンフィナンシャルサービス)という(図)。

問題が発覚した時期は、2015年4月に遡る。「利息の計算がおかしいのではないか」という顧客からの問い合わせが発端だ。金融庁の指示を受けたイオン銀行および同行から業務委託を受けて事務処理に当たっているイオンクレジットサービス(ACS)は、過去2年間の全件調査を実施。同年8月に、利息の請求誤りが存在すると確認した。

その後、ACSは調査範囲を2005年8月以降の10年分の取り引きに広げる。大手ベンダーが開発したツールを使って過去データを調査し、2016年1月までに誤請求の対象顧客を特定。同月中に詫び状を個別に送付し、過剰請求した金額を引落口座に振り込むなどの対応をした。

ただし、口座解約や住所変更で連絡が取れない11人については、現時点で返金作業が完了していない。

今回誤請求が発生したのは、イオンカードでキャッシングをして、その一部を約定日前に返済したケースである。本来、こうした「一部入金」以降の利息は、元金から入金分を差し引いた金額を基に日割り計算をして請求しなければならない。事務担当者の日割り計算に漏れがあったことで、過剰請求につながった。

ACSは、2005年に稼働させた業務システムを利用しているが、同システムには当初から利息の日割り計算機能が存在しなかったようだ。10年にわたって同機能の追加開発をしてこなかったため、現在でも手作業で利息の日割り計算をしている。しかも、少なくとも当初は一部入金時の詳細なマニュアルはなく、事務処理拠点ごとに異なるルールで運用していたもようだ。

イオンフィナンシャルサービスによると、担当者に対する教育や上司による二重チェックを徹底して、再発防止には万全を期しているという。とはいえ、三つの疑問が残る。

まず、誤請求を完全に撲滅できるのかという点だ。手作業による事務オペレーションを続けている限り、人的ミスが入り込む可能性は残る。

次に、2015年4月に問題が発覚してから2016年1月に影響範囲を特定して返金作業を開始するまで、約9カ月を要している点である。過去10年分の調査を実施したとはいえ、なぜこれほど時間が掛かったのか。いち早く公表せず、返金作業を始めて3カ月後のタイミングで公表した理由も不明だ。

最後の疑問は、長年にわたっていたとみられる誤請求について、関係者はこれまで誰もその可能性に気付かなかったのか、という点だ。

イオン銀行は現在、10年以上前に遡った調査も続けており、「詳細が判明次第改めて報告する」としている。全容解明と徹底した情報公開が望まれる。

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参照元:IT PRO
http://itpro.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/050900103/050900001/

掲載日:20160510

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